
「説明」ではなく「描写」する
「ありきたりな歌詞」から卒業する方法①の続きです。
昨日は、プロは世界を「五感」で観察している、というお話をしましたね。 今日は、その五感で集めた「素材」を、どうやって人の心を動かす「言葉」に変えていくか。その核心となる技術、「Show, Don’t Tell(『説明』するな、『描写』せよ)」についてお話しします。
これは、作詞だけでなく、小説や脚本の世界でも、最も重要とされる黄金ルールです。
例えば、あなたが「悲しみ」を表現したい時、どう書きますか? 多くの人は、つい、こう書いてしまいます。
ありきたりな例: 僕は、とても悲しかった。
これは、「描写」ではなく「説明」ですよね。読者に、感情を伝えているだけです。 でも実は「悲しい」という言葉を使わなくても、悲しみを表現することはできるのです。たとえば…
良い例: 膝を抱えたまま、冷たい床の一点を見つめていた。
どうでしょうか。 「悲しい」という言葉を一言も使っていなくても、その人の深い悲しみが、映像として、ありありと伝わってきませんか? これが、「描写」の力です。
感情そのものを書くのではなく、その感情によって引き起こされる「行動」や「情景」を描くのがポイントです。 そうすることで、読者は、その情景を頭の中に思い浮かべ、登場人物と同じ気持ちを「体験」することができるのです。
【今日のトレーニング】
あなたのノートに、喜怒哀楽の4つの感情を、感情の言葉を使わずに、「描写」して表現してみてください。
喜怒哀楽を感じている時、人はどんな表情、行動、セリフ、しぐさをしますか?また、その人を俯瞰してみたときにはどのような情景になりますか?
この訓練が、あなたの言葉に、深みと奥行きを与えます。ぜひ挑戦してみてくださいね。
明日は、あなたの言葉をただの文章から、忘れられない「詩」へと昇華させる方法についてお話しします。お楽しみに!


